小説:お盆と家族と不動産と
第十三話~あげます~

「来年で父が亡くなって丸3年になるんで、その後にできれば処分していきたいな…と。 ただ、山とかあるし、家も山の中なんで売れないだろうし、どうしたらいいかな…って。」 ミチコは答えた。 「山の中、山の中…」と独り言を言いな […]

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第十二話~名寄帳 筆~

そして、依然、赤面したまま、名寄帳が入った方の封筒を増田クンに渡した。 「あーこれです。あーいやーすごい量ですね。山とか、畑とか、いっぴつ、にひつ、さんぴつ…。家も大きいですね。倉庫もあるし、お父様は農業とかされていたの […]

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第十一話~相談料~

「あーありがとうございます。名寄帳、わざわざお父様のところの市役所まで取りに行ってもらって…」 と増田クンが封筒を開けるとそこから万札が姿を現わした。 「ん……これ、お金ですよっ!」 とミチコの顔が一気に赤くなった。 そ […]

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第十話~増田クン~

少し汗ばんだ手でドアを開け、奥の様子がうかがえない受付カウンターで、ミチコは少し緊張した細い声で 「あ、あのー。えっと、中村と申しま…」 と言ったところで、 「あー、はいはい!中村先輩の!」 と返ってきた。 別な小綺麗な […]

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第九話~面会前~

そんなこんなでミチコは次の火曜日に増田クンと会うことになった。 ただ、会うにあたって、1つの書類を持ってくるように増田クンから言われた。 「名寄帳」 もちろん、ミチコはそれが何なのかよくしらない。 言われるがままに、じい […]

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第八話~司法書士 プロフィール~

そのホームページ、トップに載せられた爽やかなイケメンスーツの姿の横に 『不動産の相続、ご相談お気軽に。』 との言葉が。 「じいちゃんちを処分するって『相続』ってことになるの…』 とミチコは若干不安不信に思いながら、さらに […]

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第七話~司法書士~

すぐにケンイチからのLINE。 『司法書士増田 TEL090-××××…』 固定電話じゃなくてケータイ番号?? と思った矢先、続けざまにケンイチから 『オレの1コ下なんだけど、いろいろ詳しいし、いい人だから!』 それでも […]

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第六話~紹介~

「でさぁ、母さん、オレいい人知っているから、その人に聞いてみたらいいよ」 親との会話が面倒になった末の言葉か、いや違う、たぶん自分でも一から十まで説明する自信はある。 だって、ケンイチはただの賃貸担当の不動産屋じゃない。 […]

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第五話~ケンイチ~

「あのさー。たぶん、じいちゃんちを処分しようかなって話でしょ。 母さん。あの、ごめんだけど、オレ賃貸担当で売買のことはよく知らないんだよね。それにたぶんだけどその家とかってそんなに評価が出ないと思うんだよね」 「は!?! […]

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第四話~相談~

この家の寿命を悟ったことで、この家をどうしたいいか考えた。 誰かに相談したいものの、マサカズやユウイチはどこか他人事。 …そうだ、うちのケンイチに聞いてみよう。 ケンイチなら仕事柄、何かわかるはず。 ケンイチはミチコの一 […]

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