少し汗ばんだ手でドアを開け、奥の様子がうかがえない受付カウンターで、ミチコは少し緊張した細い声で

「あ、あのー。えっと、中村と申しま…」

と言ったところで、

「あー、はいはい!中村先輩の!」

と返ってきた。

別な小綺麗な女性に促され、別室に案内されたミチコ。

こういう場所には慣れないようで立ったままスマホをいじりながら待っていたら。

「すいません。すいません。お待たせしました!司法書士をしています、増田です!」

「増田さん…司法書士…。さっき、女性の方が『先生』とかって呼んでましたけど。増田先生って呼べばいい…でしょうか?」

名刺を受け取ったミチコは言った。

「いやいや、確かに先生とかって言われますけど、そんなに偉くないですし、増田クンでいいですよ!」

と返す増田クン。

「…で、お父様が数年前に亡くなられて、その不動産のことで相談したいとか…。あっ、名寄帳持って来ました??」

と言われたミチコだったが、まだ緊張していたせいか、名寄帳と一緒にバックに入れてあった3万円の入った封筒の方を渡してしまった!

続く…。

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