小説:お盆と家族と不動産と
第五十八話~振込め詐欺?~

ATMの前で立ち尽くすミチコ。口を右手で抑えながら、肩で呼吸する。 5秒、10秒と続き、後ろに並んでいた若い女性に「あの~。すいません。大丈夫ですか。警察呼びましょうか。」と声を掛けられ我に返るミチコ。 若い女性は振り込 […]

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第五十七話~福沢諭吉~

「渡したいって…何を…?」とミチコは返す。 ただ、頭の中には福沢諭吉がヒラヒラと舞っていた。 「いやいや、いいから、姉ちゃんの口座教えてよ。ほんの気持ちだけどね」とユウイチは答える。 ミチコは自分の口座を教えてながら、福 […]

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第五十六話~ユウイチからの電話~

山の森林組合への売却手続きが終了したその日の夜、ミチコに福岡にいるユウイチから1本の電話があった。 「アニキと相談したんだけどさ。今回、姉ちゃんにいろいろ手間かけたでしょ。 で、ほんの気持ちだけど、オレとアニキから姉ちゃ […]

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第五十五話~確定申告~

そんな話を聞いたミチコであったが、自分も家賃収入を得ることによって毎年確定申告が必要だと増田クンに言われ、気落ちした。 確定申告なんてやったことない。 増田クンにすがるように懇願したが、「税理士じゃないんでできません。」 […]

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第五十四話~山~

一方、山。こちらも司法書士増田クンのスムーズな仕事によって、森林組合へと売却、登記上の名義が移された。 売却価格は約一千万円。 ただ、色々な経費が差し引かれて実質的な手残りは約五百万円となった。 このお金はマサカズとユウ […]

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第五十三話~入居日~

入居日だからって、家主・ミチコが行く必要はない。 ただ、おそらくは今後の数年間、見ることはないであろう実家を、そして思い出をこの目に焼き付けておきたかった。 到着すると、忙しそうに荷物の搬入が行われていた。 滞在時間はほ […]

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第五十二話~日は流れ~

11月になり、季節は、すっかり秋めいてきた。 朝夕の寒さが日に日に厳しさを増す。 ミチコは久々に車を田舎へ走らせた。 慣れない高速道路を2時間かけて。 今日は、実家を借りてくれた社会福祉法人の入居日。 父ちゃん母ちゃん、 […]

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第五十一話~フェードアウト~

マサカズは続ける「やっぱり、この家を社会福祉法人とやらに貸す分の家賃をミチコがもらうのが一番いいよね。 そうだ、この際だからここの土地と建物の名義をミチコにしたらいい。 山とかが売れた分で一時的な収入があるより、継続的に […]

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第五十話~GIFT~

その後、ミチコの視線は兄マサカズへ。 5秒、10秒と沈黙が流れる。 そして口を開いたのはマサカズ。 「うん。それでいい!で、あとは3人でどう分けるか…。 そうだな…やっぱりミチコがこっちにいて父ちゃん母ちゃんの面倒も見て […]

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第四十九話~ミチコの大発表~

この約1年間の汗と涙を思い出しつつ、これで得たお金で買おうと思っている新車の軽とカーナビとそこから流れるミスチルを頭の片隅に思い描きながら、ミチコの大発表。 マサカズとユウイチは特に口を挟むことなく、ただただ時に頷く。 […]

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