小説:お盆と家族と不動産と
第七十四話~最終回:星になれたら~

ケンイチは車窓からミチコの方へ視線を移す。 すると、ミチコが口ずさむ遠慮がちなサウンドが耳を打つ。 「さようなら 会えなくなるけど さみしくなんかないよそのうちきっと 大きな声で 笑える日が来るから…」 「それ、いい歌だ […]

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第七十三話~葛藤~

生まれ育った故郷であるという揺るぎようのない事実。 それは、過去から現在、そして未来へと時を経ても、そして荒けた状態になったり、誰も住まないであろうとしても故郷であることには違いない。 それを他の誰かに売る、貸すというこ […]

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第七十二話~コロナ対策じゃない方~

普段なら決まって『面倒くさい…』と思うケンイチだが、なぜだか今日はそう思わない。 それは、マスクの向こうの母親が気分よく小声で歌ってるから。 たぶん一人で運転してるときはおっきな声で歌っているんだろうけど。 助手席の車内 […]

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第七十話~コロナ対策じゃない方~

先週と同じく、助手席に座らせられたケンイチ。 車内に轟く音楽。前方には先週買ったカーナビの大型モニター。 走り始めた車内。 ケンイチは言う「カーナビとか取付け終わったんだ。音にいいね。 でもちょっとうるさくない?それにさ […]

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第六十九話~確かに暇だし~

ちょうど1週間が過ぎた。 勤務先の不動産屋が店休日、自宅アパートで特に興味のないワイドショーを見終わり、「コンビニに昼飯でも買いに行くかー」と独り言。 すると、母ミチコからのLINE。 「起きてた?ヒマでしょ?買い物付き […]

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第六十八話~父母からのプレゼント~

と、ミチコは目線は運転する前方を見ながら小声で話し始めた。 「父ちゃん、母ちゃんからのプレゼントみたいなものよ。 ほら、あんたにも手伝ってもらったけど、山を森林組合に売って、そのお金、マサ兄とユウイチがもらったでしょ。 […]

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第六十七話~意味が解らない~

取付は後日になった。 精算を済ませ、二人は帰りの車内。 「よく20万も持ってたね」とケンイチはスマホをいじりながら小声で言う。 正直言うと、おそらく使うことのないカーナビ、意味が分からないスピーカー…まぁ意味がありそうな […]

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第六十六話~お願いします~

その様子が気になり、ケンイチはミチコに向かい小声で言った 「どうかした?」 すると、ミチコは合計金額を指さした後、向かいに座る店員に聞こえないようにケンイチに耳打ちする 「お母さん、20万しかもってきてないの…」 ケンイ […]

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第六十五話~ミチコ フリーズ~

カーナビにスピーカー、ついでにドライブレコーダー、工賃、その他…。 計20万円ぐらい。 ミチコはルンルン気分で、ケンイチは俯き加減でスマホをいじりながら、二人は応接コーナーで見積書を待っていた。 と、そこに応対していた若 […]

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第六十四話~どっちでもいい~

ケンイチはただただミチコの後をついていくだけ。 カーナビのコーナーに着き、ミチコが店員にいろいろと聞いている。 が、ケンイチには理解できない。 おそらくミチコはネットとかでいろいろと下調べをしてきたようだ。 店員の専門用 […]

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