小説:お盆と家族と不動産と
第四十二話~本音は言えない~

「あ~はい、桜井というものはいませんけど、中西に代わります」 その若い女性の受け答えにミチコは悟った。 どうやら市役所内で中西の声がミスチルの桜井さんの声に似ていると評判らしい。 電話に出た中西は自らを名乗りもせずに小声 […]

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第四十一話~桜井さん再び2~

翌朝9時、ミチコは意を決して昨日着信があった市役所住宅整備課に電話した。 電話の呼び出し音が鳴る途中、 「桜井さんじゃない、桜井さんじゃない、桜井さんじゃない…」 と呪文のように独り言。 そして、電話に出たのは幸いにも若 […]

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第四十話~桜井さん再び~

もう1件の着信。簡単に電話することができなかった。 電話しようかどうしようか5分ほど考えた挙句、その電話番号をググってみた。 「やっぱり…」。 ミチコの心の声が漏れた。 ググったスマホの画面には「○○市役所住宅整備課」の […]

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第三十九話~買ってもいい~

「はい!○○森林組合ですけど!」。 いかにも山男、いや熊を彷彿させるようなドスの効いた声がミチコの耳に響いた。 そう、以前相談に行った森林組合であった。 専門的な内容もあって、詳しくは会って話をするとのことだったが、地目 […]

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第三十八話~INPUT~

こういう半年前の出来事によってミチコの頭の中に「車内の音楽=スマホ(CDは古い、ダサい)」というものがインプットされたのだ。 …と増田クンの説明によって、実家の、父ちゃんの家とか畑とかを売ったときに、手取り額は減るものの […]

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第三十六話~鬼の目に涙~

「母上様、母上様、ミスチルですね!少々お待ちを!」 と言いながらスマホを操作し、どの曲がいいか迷ったが「しるし」というワード、曲が目にとまり、カーナビから流した。 「最~初からこうなるとが決まっていたみたいに…」と桜井さ […]

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第三十七話~これ欲しいっ~

「いい!これいい!これ欲しい!」とミチコがまたも乙女チックな目線でケンイチに言う。 「えっ…感動してるようだけど、この曲、CDとかで持ってないの?」 とケンイチが言うと、 「違う!違う!いや、CDとかじゃかなくて、この音 […]

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第三十五話~地獄耳ババァ~

と言うと、乙女チックな輝きを失い、冷めたミチコの目線がケンイチを襲う。 「さっきのあんたの言葉、そのまま返すわ!アホか!!!桜井さんって言ったらミスチルよ!ミスターチルドレンよ!」 …と その時ケンイチの脳裏にあるフレー […]

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第三十四話~〇〇の桜井さん~

「えっ……」あっけにとられるミチコ。 さすがのミチコもスマホで音楽が聴けることぐらいは知っている。 だけど、それを、スマホの中の音楽をブルーなんとかで飛ばして車で聴けるなんて!! するとミチコは「桜井さん!桜井さん聴ける […]

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第三十三話~カーナビ~

と、ミチコのその視線はある一点に向けられていた。 前方の運転席と助手席の間。9インチの大型モニター画面。 「何!何これ!テッ、テレビ?」 ミチコが言うと、 ケンイチは「アホか…」 がミチコの耳に届かなかった 安堵感を抱き […]

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