「あーありがとうございます。名寄帳、わざわざお父様のところの市役所まで取りに行ってもらって…」
と増田クンが封筒を開けるとそこから万札が姿を現わした。
「ん……これ、お金ですよっ!」
とミチコの顔が一気に赤くなった。
そこで何といえばいいのか、数秒間の沈黙のあと、
「あっ、いや、あのー、先に今日のお礼をって思って、少ないですが…」
少しうつむきながら、ミチコは言った。
「あーいやいや、これは大丈夫ですよ。あのー受け取れないですよ。あーすいません。私が電話で報酬について言っておけばよかったですね。うちは、登記が絡んだ場合、相談は無料なんです。登記するときに報酬が発生しますから。」
…でオトナ間でよくあるお金の入った封筒がミチコと増田クンとの間で行ったり来たりするやり取りを2、3回繰り返した後、ミチコは3万円をバックに戻し
た。
続く…。
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