小説:お盆と家族と不動産と
第四十七話~言ったし~

「いるんなら、いるって言ってよ!」と弟ユウイチが声をかけてもミチコはややうつむき黙ったまま。 何かを察した2人は静かに畳の上にあぐらをかいた。 と、その時、ふとミチコが顔を上げ、「あら、帰ってきてたの!ただいまぐらい言っ […]

続きを読む
小説:お盆と家族と不動産と
第四十八話~発表します~

ミチコは天井を見上げ、その後に後ろを振り返って仏壇を見つめる。 そして、「ケンイチー、ケンイチー」とわが子を呼ぶ。 トイレから流水音といっしょにTシャツ、短パン姿のケンイチが。 「おっ!帰ってきてたの!久しぶりじゃん!」 […]

続きを読む
小説:お盆と家族と不動産と
第四十六話~いた~

いつもなら車の音に気付き、他の誰よりも一番早く、誰より明るく出迎えてくれるミチコが…いない。 まぁ手料理でも作っているのだろうと思い、「ただいまー」「おーい」と玄関から入る2人。 が、誰の返事もない。家の中に入ると、6帖 […]

続きを読む
小説:お盆と家族と不動産と
第四十五話~兄弟の帰郷~

ついこの前までは生い茂っていた庭の草木はきれいに刈り取られ、1年前の台風でできた天井の雨染みはその天井板が張り替えられ真新しくなっていた。 35℃を照らし続ける太陽がちょうど真上にさしかかった頃、1台の「わ」ナンバーが入 […]

続きを読む
小説:お盆と家族と不動産と
第四十四話~サルスベリ~

こちらも詳しくは会って話をしたいとのことであったが、内容はミチコの期待通り、いや期待を超えるほどのいい話であった。 畑はその全部を、とある農業法人が買いたいとのこと。 家の方は、とある社会福祉法人が借りたいとのこと。 そ […]

続きを読む
小説:お盆と家族と不動産と
第四十三話~期待~

受話器越しに2人の間で2、3秒間の沈黙が流れる。 先に口を開いたのは中西。 「あっ、え~っと、中村さん。以前ご相談いただいた、ご実家の空き家と、畑のお話なんですけど」と、かなり動揺した声。 しかも、ほんの数秒前、数十秒前 […]

続きを読む