こちらも詳しくは会って話をしたいとのことであったが、内容はミチコの期待通り、いや期待を超えるほどのいい話であった。
畑はその全部を、とある農業法人が買いたいとのこと。
家の方は、とある社会福祉法人が借りたいとのこと。
そう、これはミチコが思い描いていた最高の話。
山とか畑は手入れのしようが無いから売りたいって思っていた。
けど、けど家だけは…。
いくら田舎のおんぼろ家って言ってもたくさんのたくさんの思い出が…。
2~3分の中西との電話の後、「ありがとうございました。本当にありがとうございました。し、し、失礼します」と涙を浮かべ、少し声を震わせながら、ミチコ。
初夏になり、ミチコの家のサルスベリが咲いた。これはこの地にミチコが住み始めた頃、父ちゃんが植えてくれたもの。
最初の頃はツルツルした樹皮が嫌いだった。
けど今は、父ちゃんが亡くなった今は、咲くのが楽しみに。
ツルツルした樹皮も父ちゃんの頭皮を思い起こしてくれる。
お盆の準備は整った。
今までだったら、親戚一同が集まるってことになると、かなり気合いを入れて手料理を振る舞うミチコであったが、今年はオードブルを注文することにした。
自分の全てのエネルギーを、思いを、このお盆の大発表に注ぐことにしたのだ。
続く…。
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