「あ~はい、桜井というものはいませんけど、中西に代わります」

その若い女性の受け答えにミチコは悟った。

どうやら市役所内で中西の声がミスチルの桜井さんの声に似ていると評判らしい。

電話に出た中西は自らを名乗りもせずに小声で

「夕暮れの~海に、頬を染めた君が…」

とミスチルの「君がいた夏」を受話器越しに。

…とそのとき、ミチコが自分の平常心を取り戻すのを感じた。

「あの~、中西…さん。歌…ヘタです」とミチコが言う。

本音を言えば『あの~、中西さん。キモ…いです』と言いたかったが、

堪えた。

続く…。

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